楽苦美コラム:ウォーターブレイクNo.3
Samurai Twitters Vol.3

「楕円球のなぞ」

サムライヒロ


 最初から答えを言ってしまえば、「正確には分かりません^^;」分からない事だからこそ想いを巡らせる事ができます。
 テレビでか高校時代の監督だったかに「人生は、どっちへ転がるか分からないラグビーボールのようなものだ。」と言われた記憶があります。うーん。ところが、あの楕円球はそんなに尖っていませんし、柔らかい芝のグラウンドではそこまでイレギュラーなバウンドはしません。ましてやプレー経験が豊富な選手にはボールの転がり方はほとんど予想できるとか、、、、ボールを楕円球にしたのは、ラグビーを楽しくするためではなさそうです。そのなぞを解くためには、ラグビーがサッカーから分かれた18世紀までさかのぼらないとわかりませんが、現在残されている当時の文献*にその理由がありそうです。
 当時から、フットボールでボールが高く遠くへ飛ぶのは競技の醍醐味だったようです。そのボールには、弾力性を持った材質が求められました。そんな中、イギリスのラグビー校のコーチが、弾力性のあるボールを学校の近所の靴屋ウイリアム・ギルバートに依頼しました。ウイリアムは試行錯誤の結果、豚の膀胱を使ったボールを作り上げました。豚の膀胱で作ったボールは、丸いどころか写真の左下のような楕円形と言えなくはないものでした。さらに踏んだり蹴ったりされるボールは革で包まれました。ギルバートはもともと靴屋ですから革の加工は得意だったのでしょう。
 蹴って遠くへ飛ぶ弾力性をもった豚の膀胱、丸くできないからその形のままで革を張った楕円球になったボールの形は、材質がゴムやラバーに変化した今でも変わりません。楕円形の方が脇で抱えやすいだけではなく、針の穴をも通すようなスクリューパスやスローイン、芸術的とも言えるスクリューキックなどなど、、、ラグビー特有なプレーは、この楕円球から生まれています。やっぱり楕円球だから楽しいようですね。

*参考文献:フットボールの社会史 (岩波新書) JR. F.P.マグーン 忍足欣四郎翻訳 (1985)


 ラグビー博物館にて撮影したGilbert製のMatchボールの作成手順。左下に初期の豚で作ったボールがあります。ちなみに、今日でもGILBERTのボールは見かけますね。