楽苦美コラム:ウォーターブレイクNo.7
Samurai Twitters Vol.7

「聴くラグビー」

サムライヒロ


 ラグビーに関わらず、さまざまなスポーツで「前を見る」とか「相手を見る」や「ボールをしっかり見る」などという「見る」指導が行われています。
 確かに「見る」のは大切で、目から入る情報はプレーのよしあしを決める大きな要因です。
 ところが、ことラグビーにおいては「見る」だけではいいプレーは生まれません。なぜならばパスのできる味方のプレヤーは見えない後ろにしかいないからです。
 後ろにいる味方がボールを持った前のプレヤーに、自分の位置を教えて「パス」など指示を出すのは声、つまり音です。その音をとらえるのは目ではなくて耳です。
 ヒトの目は頭の前についていて、前方しか見えません。さらに、目はまばたきしますし、全速力で走っている選手の視野はかなり狭くなっています。ボールを持って走るプレヤーが味方プレヤーを捜してきょろきょろしてたら、あっという間に敵にタックルされ倒されてしまうでしょう。
 しかし、耳は頭の横についていて、全方向からの音をいつでもとらえる事ができます。さらに、耳は声の方向を正確に判断し、距離もある程度教えてくれます。耳は休むことなく味方からの声を瞬時にとらえて、次のプレーを決定する大切な器官なのです。
 味方プレヤーからの声だけではなくレフリーのホイッスルや声も大切な情報です。他のスポーツとは違い、ラグビーのレフリーはプレヤーが反則をしないように「下がって」とか「待って」とかの予防のための指示の声を出します。この声が聞き取れるかどうかも選手のプレーを向上させ、ラグビーを楽しくする要因です。
 「見る」トレーニングも大切ですが「聴く」トレーニングも必要かもしれませんね。