楽苦美コラム:ウォーターブレイクNo.9
Samurai Twitters Vol.9

「ワールドカップの経済学」

サムライヒロ


 ワールドカップは、参加チームの力だけではなく開催する国や地域の力を世界に知らしめる絶好の機会です。開催するにあたっては、国や地域の連帯感や競技の普及などさまざまなプラスの側面があります。しかし、ラグビーの発展のためには、経済的な側面も重要な時代になっています。
 2億ポンド(約250億円)から8億1000万ポンド(約1000億円)。これは、2011年のラグビーワールドカップでニュージーランドに入る「予測」収益額です。この予測は、英国のデロイト社が2008年に前回のラグビーワールドカップやオリンピック、FIFAワールドカップなどから計算したものです。この予測によると、訪れた人の宿泊費やお土産などを含む経済効果は約750億円~2633億円にも及ぶとも言われています。
 しかし、実現のためには1試合あたり平均して30,600人が観戦(KKウイングがほぼ満席)、合計で150万人(熊本県の人口が約182万人なので県民の約8割)の入場者が必要です。さらに、スタジアムの建設などのために1億8900万ポンド(約230億円)の追加投資が必要ともされています。実際問題として、この条件をクリアーするのは大変なことで、かなりの赤字ではないかとも言われています。
 2007年のフランス大会では238の国々で4億人がテレビで観戦し、1試合あたり47,000人、合計で230万人が会場で観戦、35万人が海外からフランスに訪れたとか。これにより3億6300ポンド(約455億円)の経済効果がフランスに生じました。多くの人の目にとまるのは大きな経済な利益を生むのです。ちなみに、試合後フランスのラグビー人口が28%増加したという報告もあります。
 社会的にしろ経済的にしろ、注目されて人が集まるところには、大きな利益が生じます。試合の勝ち負けを観るだけではなく、ラグビーワールドカップというビッグイベントのさまざまな効果に注目するのも楽しいかもしれません。8年後は、我々が注目される番なのですから。

写真は2007年フランス開催のラグビーワールドカップ直前のパリノド駅のディスプレイです。