楽苦美コラム:ウォーターブレイクNo.11
Samurai Twitters Vol.11

「図と地:プレヤーとグラウンド」

サムライヒロ


ラグビーは敵のチームと戦うスポーツですが、同じ英国で生まれたゴルフは、地球を相手にした自分との戦いのスポーツだと聞いた記憶があります。最近では、ゴルフもラグビーもテレビで国内と世界の大会を同時に見ることができます。ことラグビーに関しては、国内と海外を比べると、プレヤーの風貌やプレーのダイナミックさよりも、まずピッチの色の違いが目に付きます。規模の違う海外と国内を比べるのは土台無理があるのですが、それにしても日本のアースカラーと海外のグリーンの違いは目に飛び込んできます。最近のニュースで、秩父宮ラグビー場の芝生がかなり傷んでいてプレーに影響を及ぼすほどだとか、かつてジャパンが海外遠征をした際には、あまりにもやわらかい芝で思うように試合ができなかったとか、ラグビーは敵と戦うだけのスポーツではなさそうです。
「敵を知り、己を知り、天と地の利を知れば百戦危うからず。」これは中国の故事ですが、己を鍛える練習,相手を知る試合と同様に地の利を知るのも大切なトレーニングです。全国大会へ毎年出場するチーム、必ずベスト8まで上がるチームは、その実力(己)もしかり、組み合わせ(敵)もですが、戦地の様子(天と地の利)を心得ているのもあるのかもしれませんね。
天と地の利は、ピッチが土か芝かだけではなく天気、気温、風向き、太陽の位置などたくさんの要因があり時間で変化していくものです。考えたらきりがありませんが、自分の理想とするゲームを描くためには紙に相当する地が必要です。ゲームプレーだけではなく天と地にまで気を回せるプレヤーはオールシーズン、どのピッチでも通用します。いつの日か自分や知り合いがまぶしいくらいのグリーンの地で、思いっきりのプレーを描いている姿を想像してみて下さい。


写真は、ケンブリッジ大学のラグビー場でのナイターゲームです。シーズンが続く2月の寒く日照量も少ない状況でも常にグリーンの芝が保たれています